仕事柄と、アレルギーの経験なども交えて記載する。ももたゆきを。
アトピー性皮膚炎の子はこのくらいの薬や保湿剤を常備しているのではないだろうか?
ステロイド剤、アルコールフリーの保湿剤、ワセリン、かゆみ止め他アレルギー治療薬、これが家で常備しているアレルギー関係の薬類です。アトピー性皮膚炎は治療するというよりは、「手当て」するという言葉がぴったりの疾患であると思い、タイトルには「手当て」という言葉を使いました。まず、アレルギーについて知ることが大切です。ここではアレルギーについて記載します。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が特徴の皮膚の病気です。良くなったり、悪くなったりを繰り返します。治りにくい慢性疾患です。以前は、乳幼児特有の病気でしたが、現在は成人してもアトピー性皮膚炎を繰り返す方が増えています。また、20歳以下の10人に1人がアトピー性皮膚炎をであると推測されます。
なぜ、アトピー性皮膚炎になるの?
以下の2つのの要素があるとアトピー性皮膚炎になりやすい言われています。
- 皮膚が乾燥しやすいドライスキン
- アレルギーを起こしやすい体質である
アレルギーを起こしやすい体質とは
ドライスキン
肌の表面には保湿成分である油分があり、肌が乾燥するのを防いだり、外からの物質からの影響を防いだりしてくれます。しかし、アトピー性皮膚炎の人は肌の油分(保湿成分やセラミド)が少ない乾燥肌で、外からの物質の影響を防ぐことができません。異物(アレルゲン)の刺激で、肌が赤くなったり、湿疹ができ、かゆくなったりします。
体のはたらき
アレルギーを起こしやすい体質の方が家族などにおられる場合は要注意です。体には、本来、体に入ってきた異物を取り除こうとする働き(免疫)があります。この働きが異常に働くことをアレルギー反応といい、異物によって赤くなったり、かゆくなったりします。
アトピー性皮膚炎を発症する年齢
早ければ生後2ヵ月頃より発症する赤ちゃんもいますが、頭や眉毛に黄色いかさぶたのような湿疹ができても、それはアトピー性皮膚炎ではない可能性が高いです。乳児特有の湿疹の場合は自然に治ります。
アトピー性皮膚炎は顔や頭、オムツや下着の締め付けのある腹部や肌着が当たる胸や背中の肩甲骨周囲が赤くなり湿疹ができます。乳児から幼児、大人になるにつれ、アトピー性皮膚炎は軽快しますが、成人後も続いたり、成人後に再発する人もいます。
アトピー性皮膚炎の原因
上に記載している「ドライスキン」と「体のはたらき」と下記にある「アレルゲン」大きく関与しています。
- ドライスキン 肌を守る油分が足りない乾燥肌
- 体のはたらき 免疫のはたらきが過剰である
- ストレスなど
- アレルギーを起こす物質(アレルゲン)がある
アレルゲンとは
皮膚の炎症を起こす原因である物質をアレルゲンと言います。
体のはたらきには、体に入ってきた異物を取り除こうとする抗体の働き(免疫)があり、この働きが異常に働くことをアレルギー反応といいますが、この異物をアレルゲン(抗原)と言います。
アトピー性皮膚炎アレルゲンの検査
アレルゲンを見つける方法はいくつかあります。
- 血液検査
- 血液検査で陽性であったとしても症状が出ない方もいます。
- スクラッチテスト
- 針で皮膚の表面ひっかき、アレルゲンとなり得る物質を貼って反応をみる。
- パッチテスト
- 皮膚の表面にアレルゲンとなり得る物質を貼って反応をみる。
- 皮内検査
- アレルゲンとなり得る物質を皮内に注射して反応をみる。
- 負荷試験
- これは食物アレルギーのアレルゲンを特定する時に利用します。まず、アレルゲンとなり得る食物を食べないようにして様子を見て、その後、アレルゲンとなり得る食物を少しずつ増やしながら様子観察し、アレルゲンを特定する負荷試験です。
※アレルギーの血液検査については、下記リンクに詳しく記載しています。
→アレルギー検査に意味があるのか?保険適応内検査と適応外検査
生活で気をつけること
治療と同時に気をつけたいことがいくつかあります。またアトピー性皮膚炎は、多くの場合すぐに治るものではありません。長く付き合って行かなければならないものです。日頃のスキンケアが大切です。皮膚の状態を見ながら手入れして行きます。特に乾燥する時期や季節の変わり目は注意しなければなりません。
- 爪を短く切る
かゆくても、皮膚を傷つけないことが大事です。
夜はガシガシ掻いています。夜には手袋をして眠ると良いです。
商品名→わんわんベビー ドクターミトン かゆいっこ WL
商品名→寝るときかかない手袋 フリーサイズ大人用
- 服のタグなどは切っておく
肌が触れる部分に余計なものは刺激になります。
- 悪化する前に治療する
掻いて皮膚を傷つけたり、炎症が悪化すると治りも遅くなるので、早めにケアすること。
- 乾燥やかゆみを抑える
合う保湿剤があれば使用し、肌を守ることが重要です。
アトピー性皮膚炎の治療方法
治療というよりも症状をコントロールするという言葉が正しいかも知れません。症状が緩和したとしても繰り返す可能性が高いので、日々の皮膚の状態の観察が必要です。
薬物療法
赤くなり始めたら、悪化する前に症状を改善しましょう。そのためには薬を使います。正しく使えば、塗り薬で副作用が起こることは殆どありません。また、かゆみにも対処もしなければなりません。かゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬が処方されることがありますが、かゆみが強い夜などには薬を飲んだ方が良いでしょう。(夜中、寝ている間に掻くことが多いので)
※薬については下記に詳しく記載しています。
スキンケア
肌に合う保湿剤を見つける
これが一番大変かも知れませんが必要なことです。病院や薬局では一般的にはワセリンを使うことが多いようですが、これも合わないかも知れません。それにワセリンの場合はべとつく使用感です。
- 保湿剤は肌が綺麗な(強い)部分で数日試してみる。
- 赤みや傷があるところは避けて使用する。
- 乾燥肌や小さい傷があるかも知れないので、アルコールフリーのものを選ぶ。アルコールが入っているとピリピリします。
天然成分だけできていて、アトピーの子供にも安心して多くの方が使っている保湿剤です。
商品名→ヴェレダ カレンドラケアクリーム 25g
入浴後のスキンケア
皮膚を傷つけない刺激の少ない石鹸で洗い、入浴後は皮脂膜を補う必要があります。保湿剤を塗りましょう。
皮膚科で薦められた石鹸で、あまりドラッグストアに置いてない石鹸です。スベスベになります。
商品名→コラージュ D乾性肌用石鹸 100g
原因の除去
ダニやほこりや汗の除去はもちろんですが、ここで問題になることが原因が食物にある場合です。この場合の治療方法は、医者によって考え方が違います。除去する医師と除去を好まない医師とがいます。
原因の食物を食べないで起こり得るデメリット
- 乳幼児のアレルギー―の70%が食物アレルギーが関与しているとされているが、「原因の食物除去での治療効果」を評価することは困難であり、効果の程が不透明。
- 栄養障害に陥る可能性もある。
- まったく食べないでいると、知らずに食べた時のアレルギー反応が顕著に出ることが心配される
食物除去を行う場合はどの食べ物を制限すべきかを医者と相談しながら決めて行います。あまり神経質になることも良くありません。食物を少しずつ食べながら様子をみていきます。赤ちゃんの場合は、口の周りが赤くなっていないかなどをチェックしながら一口ずつ食べさせて行きます。乳幼児の場合は、消化器官の発達により食物アレルギーを起こさなくなる場合もあります。
アトピー性皮膚炎の薬
ステロイド薬(抗炎症剤)
体の中にあるホルモンの中で、炎症や免疫のはたらきを抑えるホルモンが「副腎皮質ステロイドホルモン」です。そのホルモンと同じはたらきをする塗り薬が「ステロイド薬」です。ステロイド薬には飲み薬もありますが、アトピー性皮膚炎に使う薬はほとんどが塗り薬です。
一般的にステロイドは副作用が強い薬だと知られていますが、飲み薬と違い、塗り薬(外用薬)は患部にだけ働くので副作用は少なく、副作用を恐れることはありません。ステロイドなどを使わずに悪化させてしまう方が本人にとっても辛いことだと思いますし、悪化させ治らなければ跡が残ってしまいます。
良く言われるステロイド薬(塗り薬)の副作用は、「皮膚が薄くなる」や「カサカサになる」という症状で、短期であれば殆ど問題ありません。
免疫抑制薬
免疫抑制薬は、過剰な免疫反応を抑える薬です。ヒリヒリ感があるため、傷のあるアトピー性皮膚炎には向きませんが、ステロイドを使いたくない方や長期にステロイドを使っていて皮膚が薄い方などは免疫抑制薬を選びます。免疫抑制薬のメリットは、ステロイド薬に比べ、比較的治療後から皮膚が綺麗になると言われています。
かゆみ止め抗ヒスタミン薬
皮膚を傷つけないことが重要ですから、かゆみを抑えることは必要です。抗ヒスタミン薬は眠くなるので、車の運転などは注意が必要です。